進撃の巨人ゆるっと考察

はじめまして。とりあえず進撃の巨人を考察してみます。

進撃の巨人の能力と過去・未来について

ネタバレ注意!

 グリシャ曰く、進撃の巨人の能力が”未来の継承者の記憶を見られる”ということが明らかになりました。実は僕はこれに少し異論があります。なぜなら、進撃の巨人は未来を見られると言いつつ、エレンがやっていたことは過去のグリシャに自分の選んだ記憶のみを送り、グリシャの行動を操っていたからです。

 

 進撃の巨人の能力、”未来の継承者の記憶を見られる”の本質は、継承者が過去の継承者に自分の選んだ記憶を見せられるという事だと思います。ジークもそのような事を言っていましたよね。

 

 グリシャが未来を見られるのは、未来のエレンがグリシャに記憶を送っているからです。グリシャからすると、明らかに未来からの干渉を受けています。

つまり、未来は既に決まっていて、その未来により現在の事象が決定するという事が起こっているように思います。

 

 そんな事があり得るのか?と思いましたが、”未来を見られる”という事について考えてみるとあり得る事なのではないかという考えに至りました。

 

 本来、未来とは確率の数だけ存在するものだと思います。サイコロを振った後の未来は1から6の目が出る6通り存在するわけです。現実の世界では様々な事象が絡み合っているので無限通りの未来が存在する事になりますが。

 

 もし未来が一通りしか存在せず、我々が感じるこの世界や時の流れがその一つの未来に向かって進んでいるのだとすれば、我々には自由意志があっても、我々が自由な存在ではないという事になります。自由に選択できる場面があったとしても、結果は決まっていて1つの未来に必ず行き着いてしまうことになりますからね。まさに、エレンの言う不自由な奴です。

 

しかし、僕はエルディア人こそまさにそのような一つの未来に向かって進んでいて、完全に自由な存在ではないのでは?と考えています。

 

 サイコロを振る際、6の目が出たという未来が見えたとします。6の目が出るのは6通りある未来のうちの1つです。つまり、6通りある未来のうち、ランダムに1つの未来が見えたと言う事ができると思います。そして、実際にサイコロを振って6の目が出たとします。これはランダムな未来の中から選んだ1つのルートに世界を突き進ませていると考えることができます。

 

 未来予知とは、複数または無限通りの未来の中から1つの未来を選び、それに向かって世界を動かせる能力なのではないでしょうか? これが、進撃の巨人の世界で起こってるように感じます。

 

 ここで、最初に未来予知をし、未来を決定させた存在は何なのか考えてみましょう。結論から言うと、恐らく始祖ユミルでしょう。9つの巨人は始祖ユミルの魂が分かれて生まれた存在だとされています。よって、始祖ユミルは9つの巨人の特性を持っていると考えるのが自然です。そして、始祖ユミルはエルディア人の”始祖”なのです。全ての始まりは始祖ユミルなのですから、最初に未来予知をしたのも始祖ユミルとなります。

 始祖ユミルと全てのエルディア人は”道”で繋がっています。”道"とは時空を超越したものなので、いついかなる時代のエルディア人も始祖ユミルと”道"で繋がっています。記憶を見るという能力は明らかに”道"を用いることで可能になっていますよね。始祖ユミルは”道"を用い、未来のエルディア人たちの記憶を見る事で未来を見るのです。記憶とは体験によって持つことができるものですよね。未来の継承者の記憶を見ることで、未来の継承者がどんな行動をし、どんな体験をしたかを決定する事になります。

 よって、始祖ユミルが未来を観測した時点で、全てのエルディア人の行動はその未来に行き着くための過程として定まってしまいます。だから、この作品では役割を終えたものから亡くなっていくと言われているのではないでしょうか?

 始祖ユミルがなぜ亡くなり、魂を9つに分けたのかは分かりませんが、それは始祖ユミルが見た/選んだ未来を実現するために必要な過程だったことは確かだと思います。

しかし、ここで1つのエラーが発生してしまったのではないでしょうか?

 それは始祖ユミルがエルディア人の始祖であるということが関係しています。

 始祖ユミルが未来を見た方法とは、”道”を通じて未来のエルディア人たちの記憶を見ることだと思われます。これは、未来のエルディア人たちに”道”を通じて記憶を始祖ユミルに送らせたというのが本質なのではないでしょうか?

 対象が継承者だけでなく、エルディア人全体なだけで、進撃の巨人と全く同じ能力なのです。しかし、進撃の巨人と異なるのは始祖ユミルには過去の継承者が存在しないという事です。進撃の巨人は代々継承され現在の物語に至っています。

進撃の巨人が見られる未来の継承者の記憶とは、始祖ユミルが見た未来のエルディア人たちの記憶の一部に過ぎません。 しかし、進撃の巨人は過去の継承者に自分の選んだ記憶を送ることができます。これがエラーの原因なのです。

進撃の巨人により、始祖ユミルが決定した未来をその未来に至る前の過去の人物が知ることができます。これにより、始祖ユミルの決定した未来のルートから進撃の巨人の継承者は脱落することができるのではないでしょうか?

 

ここで、始祖ユミルが見た最新の未来が2000年後だと仮定します。そして、最新の未来とはエルディア人が絶滅する未来である可能性が高いので、2000年後にエルディア人が絶滅すると仮定します。

 なぜなら、エルディア人が永遠に生き続けるのなら、未来のさらに未来が無限に存在することになるからです。

 エレンが未来の継承者の記憶を見た描写がないことからも、今の代で進撃の巨人やエルディア人たちに何かが起きてしまうのは予想できると思います。

 しかし、始祖ユミルも進撃の巨人も、見られるのは未来の人間の記憶に過ぎません。そしてエルディア人は自由では無いが、自由意志が無いわけではないです。

始祖ユミルにより2000年後までエルディア人は運命を決定付けられてしまいますが、それに抗うか従うかは各人の自由意志です。しかし、エルディア人に自由意志はあれど、どのような選択をしようと同じ結果に辿り着いてしまいます。

 進撃の巨人の継承者はどうでしょうか?進撃の巨人の継承者も自分の運命は変えられませんが、始祖ユミルの見た1番先の未来での継承者は自分自身の選択により過去の継承者に記憶を送ることができると思います。

 始祖ユミルが見ることができるのは記憶であり、意志ではないのです。例えば、意識の薄れている死の間際でも強い意志があれば過去に記憶を送ることができるように思います。しかし、意識が薄れているので記憶には残りませんよね。

 

進撃の巨人の継承者は未来で自分がどのような記憶を持つのかは始祖ユミルによって決められてしまいますが、

どのような意志を持つかはやはり自由です。

 始祖ユミルの見た最新の未来での進撃の巨人の継承者は、自分の意思で過去を変える決断ができたのだと思います。

 他の過去の継承者たちでは、どのような選択をしても始祖ユミルの見た未来に行き着いてしまうのです。

 その選ばれし最後の継承者がエレンなのではないでしょうか?

 

 エレンはグリシャに”あの景色”の記憶を見せたと思われますよね。しかし、現段階でエレンは”あの景色"を実際に目撃する前に、グリシャの記憶から”あの景色"を見てしまっています。

グリシャに”あの景色”を見せたエレンと、グリシャの記憶から”あの景色"を初めて見たエレンの2パターンが存在することになります。

 “あの景色"を実際に見たエレンはどこに行ったのでしょうか?

過去に干渉して過去を変えた時点で、分岐点が生まれて、それまでとは別の世界線パラレルワールドが発生するのだと思います。

やはり、未来は最初から決まっていて、進撃の巨人の能力により過去を変えて新たな未来を切り開いて行っているように思います。最後の継承者により、歴代の進撃の巨人の継承者が新たな未来の記憶を得る度に、過去が再び現在となり動き始めるのではないでしょうか?

クルーガーは、”壁の中で人を愛せ。それができなければ繰り返すだけだ。同じ歴史を。同じ過ちを。何度も。” と言っていました。

 

長くなったのでこれで一旦終わります。